
「ダイエットのために食事制限を始めたけれど、我慢するのが辛い…」と感じた経験はありませんか?実はその感覚、単なる気持ちの問題ではなく、科学的な理由があるのです。
科学的に食事制限が難しい理由を知れば、食事制限に伴う苦痛も軽減します。また、新たな視点が生まれ継続的なダイエットに取り組めたり、リバウンドしないダイエットができます!
本記事では、食事制限が苦痛になる原因を 脳・ホルモン・心理学 の視点から解説します。
脳科学から見た“理性と本能の戦い”
食欲は人間の「生理的欲求」にあたり、本能的に備わった仕組みです。食欲を司るのは脳の大脳辺縁系(扁桃体・視床下部など)。一方で「我慢しよう」「もう少し減らそう」と制御するのは前頭前野(理性を司る領域)です。
つまり、食事制限とは常に “本能 vs 理性” の戦いなのです。

ところが、この制御は長くは続きません。心理学では「自制心のリソースは有限」とされ、我慢を重ねるほど消耗し、ストレスが増加します。この理論は「自我消耗(Ego Depletion)」と呼ばれ、Baumeisterらの研究でも示されています(参考:自制心と意志力の制限:自我枯渇理論と研究の現状 – サイエンスダイレクト)。
ホルモンが食欲を強める
食事制限をすると、体は「飢餓状態」と認識します。その結果:
- グレリン(食欲増進ホルモン) が増える
- レプチン(満腹ホルモン) が減る
このホルモンバランスの変化によって、「もっと食べたい」という欲求が強まります。つまり、制限すればするほど脳と体が「食べろ!」と指令を出すのです(参考:食欲を左右する7つのホルモン 健康的な食生活の方法は – 日本経済新聞)。
ストレスホルモンとリバウンド
長期間の制限は、ストレスホルモン コルチゾール の分泌を増加させます。コルチゾールは脂肪を溜め込みやすくするだけでなく、甘い物や高カロリー食への欲求を強める作用があります(参考:食欲を左右する7つのホルモン 健康的な食生活の方法は – 日本経済新聞)。
疲労やストレスがたまると大食いしたくなるのもコルチゾールが影響しているとも言われております。
そのため食事制限によって「頑張っているのに逆に食欲が増す」「一度食べると止まらない」というリバウンド現象が起こりやすいのです。
心理的ストレスの影響
「見たらダメと言われると余計に気になる」子供のころにそのような経験をされた方もいるかと思います。これは「カリギュラ効果」と呼びます。禁止されることに対して興味や関心が強まる反応です。

他にも、食べ物のことや空腹感を「考えないようにしているのに、返って頭からそれが離れなくなる」ということもあるかと思います。これは「シロクマ効果」と言われ、自分は考えないようにしているのに、逆にそのことが頭から離れなくなってしまうという心理的な影響です。
そのため、「食べてはいけない」と制限すると、かえってその食品に強く意識が向き、最終的には我慢できず食べてしまう。という結果になることもしばしばあります。
ダイエットを継続できる人とできない人の差
ここまでの説明だと、ダイエットに成功している人のは、脳やホルモン・心理学などの科学的な反応に対し、理性が上回る強靭なメンタルの持ち主と思われた方もいるかもしれません。
しかし、実際はその科学を味方に、考え方を変えるだけで、食欲や空腹の感じ方を変えることができ、ダイエットに成功する可能性を高めることが出来ます。
具体的には
- 報酬系の反応を活用する
食べ物の「快楽報酬」はドーパミン系によって処理されますが、ダイエット成功者はこの報酬系が食事以外の活動(運動、達成感など)からも得られる傾向があると報告されています。
すなわち、「食べることの幸せ」以外の「幸せ」を感じていることが重要になります。
例:運動することが楽しい!綺麗な体を維持できることが幸せ!など - マインドフルネスとの関連
「食欲を抑え込む」のではなく「今の空腹感を客観的に観察する」マインドフルネス食事法は、精神的ストレスを減らし、長期的な体重管理に有効とされています(参考:過食症を治療するためのマインドフルネスに基づく食事意識トレーニング:概念的基盤 – PubMed
マインドフルネス・イーティング(Mindfulness Eating)の実際
🥢 実践のポイント
- 食べる前に立ち止まる
- 「今の空腹は10段階でどれくらい?」と自分に問いかける。
- 「本当に空腹か?ストレスや退屈から食べたいだけか?」を見極める。
- 五感を意識して食べる
- 香り、見た目、食感、噛む音、舌触りなどを丁寧に感じ取る。
- テレビやスマホを見ながら“ながら食べ”は避ける。
- ゆっくり味わう
- 満腹感のチェック
- 「もう少しで満腹かも」と感じたら一度箸を置く。
- 満腹の80%を目安にやめる。
- 罪悪感を手放す
- 甘いものや揚げ物を食べても「ダメ!」ではなく「美味しいな、必要だったんだな」と受け入れる。
マインドフルネス食事法は、
- 「禁止」ではなく「気づき」
- 「理性で抑える」ではなく「自分の心身を観察する」
というアプローチで、ストレスを減らしつつ自然と食事量や内容が整っていく方法です。
まとめ
食事制限が苦痛なのは意志の弱さではなく、脳やホルモンの仕組み、そして心理的な作用が関係しています。無理な我慢はストレスを高め、リバウンドを招きやすいことが科学的に明らかになっています。
そのため、痩せたいのであれば無理のないダイエットが重要になります。
昔から、「腹八分目」や「よく噛んで味わって食べなさい」と言った家庭教育を受けて育った方には当たり前かもしれませんが、時間に追われストレスフルな我々、現在人にとっては今一度食事の仕方を見直す必要もあるかもしれませんね!
Loco&O2では基本的に食事制限は行いません
「我慢ばかりのダイエットは続かない…」そんな方でも安心して取り組めるよう、私たちは無理のない運動と生活習慣の工夫を中心にサポートしています。
枚方・樟葉で、楽しく続けられるトレーニングをお探しの方は、ぜひ一度Loco&O2へご相談ください。見学や体験もご用意しています。